26歳独立独歩

26歳独立独歩第91話「悪魔の取引」の話

悪魔の取引

こんばんは。たけぞうです。独立独歩第91話

今回のテーマは「悪魔の取引」って話

なにそれ小説か何か?ジミーペイジっすか?なんかカッコいい言葉やな。俺は悪魔と取引したぜ。

いろいろあると思います。良いと思います。

僕は「悪魔の取引」成立させたいですね。

少年と悪魔①

少年は言いました。

「僕にはほしいものがある。それを手に入れるためにはどんな苦しみだって受け入れるよ」

悪魔は答えました。

「わかったよ。君が望むものを上げるから君の苦しみを僕に頂戴。僕は絶対に約束を破らない。君が受け取るまで君についていくよ。」

少年は悪魔と取引を始めたのです。

少年と悪魔②

「最近悲しい事が多い気がする。なんでだろう。辛いよ。もう嫌だ。」

少年は嘆きました。

すると悪魔はこう言いました。

「取引は一度結んだら終わらないんだ。僕は君が欲しいものを持っている。これを上げたいけどまだ足りない。頑張って乗り越えて。君ならできるよ。」

少年は今にも泣きだしそうな顔でこう答えました。

「そうだ僕は君と取引をしているんだ。頑張るよ。約束通り僕が乗り越えたら、僕が望むものを頂戴ね。」

「もちろんさ。それが僕の役目だから。悪魔は絶対に約束は破らないんだ。だから悪魔なんだ。」

少年と悪魔③

少年は頑張りました。それでも辛い事ばかりが起こります。そして少年はこう言いました。

「僕には無理だ。もう取引をやめたい。もういらないから、僕を開放してくれないか。」

悪魔は答えました。

「それは出来ない。悪魔の取引をやめるには君が乗り越えるか死ぬかどちらかでしか終わらす事が出来ない。僕にはそっと君を見守る事しかできないんだ。いつか君が望むものを渡せることを期待しながら待つことしかできないんだ。」

やさしい言葉をかける悪魔と反対に少年はこう答えました。

「もう僕はいらないんだ。こんなに苦しいのなら僕はそんなものもう望まない。僕の前からいなくなってくれ。君がいなくならないなら僕が君から去るよ。」

悪魔はさみしそうにその背中を眺めています。

少年と悪魔④

少年は悪魔と別れ、今までの苦しみが嘘だったかのように楽しい時間を過ごしていました。しかし、ふとした時にまた悲しい気持ちが込み上げてきます。そして見渡すとそこにはいつも悪魔がいました。

「やぁ、元気かい?」悪魔は挨拶をしました。

「最近悲しいのは君の仕業か。どっか行ってくれよ。僕は今楽しいんだ。君のせいでまた悲しい気持ちが溢れてきたよ。どうしてくれるんだ。」

少年は挨拶もよそに言いました。

「それは分かっているよ。でも取引は成立していないんだ。僕は君が乗り越えるまで離れることは出来ないんだ。」

悪魔は悲しそうにそしてどこか少年を励ますような表情で言いました。

「だから何だって言うんだ。僕にはもう君は必要ない。あっちへ行ってくれ。君が行かないなら、僕から逃げてやる。」

そうやって少年はまた悪魔から逃げたのです。

それからというもの、何度も悪魔は訪れ少年から苦しみを取りに来ます。そして、それに気が付いた少年は逃げました。

だんだん少年は逃げ方がうまくなり、1カ月毎に現れていた悪魔が3カ月に1回になり、3カ月に1回だったのが1年に1回になり数年に1回になり数10年に1回になっていきました。

少年と悪魔⑤

少年はすでにおじいちゃんとなってしまっています。悪魔の存在も取引したことも忘れているようです。悪魔から逃げる事に慣れ現れる前に身を隠してきたのです。

そして人生の終わりを迎えようとしていました。

「家族も出来てかわいい孫もいて本当にいい人生だった。後悔など無い。今までありがとうみんな。」

少年は家族に見守られながら息を引き取ろうとしたその時です。

「やぁ、もう死んじゃうんだね。まだ君渡せていないものがある。でももう渡すことができないや。」

悪魔です。

少年は思い出しました。心から本当に望んだものを手に入れるために悪魔と取引したことを。その重圧に耐えきれず逃げてしまったことを。そして望んだものを手に入れることが出来ない事実とその1尊さを。虚しさを。そして悪魔にこういいました。

「君が今現れるまで思い出すことも出来なくなっていた。忘れていた。本当に欲しかったもの君からもらえなかったもの。本当に欲しかった。でも、もうそれは手に入れることは出来ない。あー、なんて悲しいのだろう。なんで現れるんだいこんな時に。」

悪魔は答えました。

「悪魔は約束を破らないんだ。君がこれを受け取るまで僕はどこまでも君と一緒だ。君が心から望むものを受け取った時僕は天使になれるんだ。そして、君はまだ受け取っていない。」

少年は自分が手に入れられなかったものの大きさをその思い涙を流しました。そしてこう答えました。

「本当にごめんよ。悪魔。君を天使にしてあげることが出来なかった。君を見ないようにする事に必死だった。そんな事は出来ないはずなのに。見えない振りをしていたんだ。悲しいな。心から手に入れられなかったもの。欲しかった。本当に哀しいよ。」

そうして、少年と悪魔は消えていったのです。

最後に

僕は自分が乗り越えられていないものを乗り越えた先にきっと自分が望むものが手に入ると考えています。

いつも似たような苦しみが起こるのは知らず知らずのうちに「悪魔の取引」をしているのです。

「悪魔」は律儀ですから、それを渡すまで僕のそばから離れません。

見えない振りは出来るけど、同じような苦しみが何回でも起こってしまう。

それはきっと乗り越えろと誰かが僕に与えているものなのかもしれません。

どうせなら、乗り越えたいですよね。

死ぬまでに「悪魔」を「天使」に変えたい。

そんな風に生きていたいですね。

それでは、ばいばい。